1939年生まれ干支は卯、第二次世界大戦が終戦した翌年の昭和二十年に小学生(入学時は国民学校と呼んでいたが二学期から小学校になった)。というわけでアメリカ軍のレーダー装備大型爆撃機B29の空襲を告げるサイレン音と、照明弾で明るくなった夜空の下を、爆弾破裂音や真っ赤に燃える近隣の家を避け、防空頭巾を被り家族に守られながら必死に防空壕に逃げ込んだ恐い記憶が消えません。それからまもなく終戦となり、何もない終戦後の世の中でしたが、何故か子供の頃から工作が好きで何時も何か壊してその部品を利用して、別の物を作ったりしていました。こんな私が社会人となった頃から世の中の景気も右肩上がりとなりはじめ、一応は電気音響関係の技術屋の端くれとなった私も皆と一緒に多忙な日々を過ごしてきました。特にメカと電気を組み合わせたメカトロニクス?にも興味があり、デジタル化が進むなかでアナログ技術の重要性を強く感じています。今も子供の頃からのイタズラ心が頭をもたげて、何か役立つ面白い物を造れないかと試行錯誤しながら研究?する日々を楽しんでいます。

バランスタイプとアンバランスタイプの入出力端子について

2010年06月05日11:36:36 by hama
 

CDプレーヤー、ミキシングコンソール、パワーアンプなどの音響機器の入出力端子には、RCAピンジャック、モノホンジャック、ステレオホンジャック、XLRタイプなど様々な種類の端子を備えています。そして、これらの端子はアンバランス(UNBAL)とかバランス(BAL)と呼ばれる入出力の回路方式によって使い分けられています。今回はこれらの入出力回路方式の特徴や使用上の注意点について説明します。

アンバランスタイプの入出力に使用されているコネクター類のピン端子の数は、ホット(+)とグラウンド(GND)の配線を接続するのに必要な2本(=2極)タイプです。例えば、RCAピンジャック、RCAピンプラグ付きケーブル、モノホンジャック、モノホンプラグ(=単極プラグ)付きケーブルなどがアンバランス入出力用に使用されています。

これに対して、バランスタイプの入出力に使用されているコネクター類のピン端子数は、ホット(+)、コールド(-)、グラウンド(GND)の配線を接続するために3本(=3極)タイプになっています。例えば、XLRタイプ3Pジャック(機器側についているコネクターはリセプタクルとも呼びます)、XLRタイプ3Pプラグ付きケーブルなどが使用されます。

XLRタイプのコネクターやプラグには、オスタイプとメスタイプがあり米国の放送事業者連盟NAB(National Association of? Broadcasters)により、それぞれ使用目的によって極性の役割が決められています。NABではXLRタイプ入力端子にはメスタイプのコネクタ(リセプタクル)を、出力端子にはオスタイプのコネクタ(リセプタクル)を使うことで統一されています。ということは、出力用の接続ケーブルはメスのXLRタイププラグ付きが使用され、入力用の接続ケーブルにはオスのXLRタイププラグ付きが使用されることになります。

(註:XLRタイプコネクターにはピン数が2本や4本など異なる種類があります。音声入出力用としては通常3ピンタイプが使用されます。老舗のITTキャノンXLR-3ピンコネクタ(リセプタクル)の正式名称はオスタイプが「XLR-3-32」で、メスタイプが「XLR-3-31」と呼ばれ、3ピンプラグのオスタイプが「XLR-3-12C」で、メスタイプが「XLR-3-11C」と呼ばれています。(このほかノイトリック社、スイッチクラフト社製のXLRタイプがありますが型名表示は異なっています)

このほかNAB規格では、XLRタイプ3Pコネクターのピン端子接続極性(ピンアサインと呼ぶ)については、1番端子をグラウンド(GND)、2番端子をホット(+)、3番端子をコールド(-)と決めています。10数年前の米国においては3番端子がホット(+)で2番端子がコールド(-)と決められていた時期があったため、一時はPA機器システムのバランス入出力端子は3番端子がホット(+)で、放送機器は2番端子がホット(+)という時期がありました。しかし現在では世界的にXLRタイプ3Pコネクターの端子極性は2番端子がホット(+)に統一されているようです。

XLRタイプ以外でバランス入出力端子として使用されていたコネクターには、ヨーロッパのCCIRなどの規格関係で、永年日本の放送局が採用していたコネクターはNHKのBTS放送規格に準じる、ねじ込み式ロック機構の3Pメタルコネクターが使用されていましたが、国際的な接続端子の互換性があり、信頼性があり着脱がワンタッチで行えるが抜けにくいロック機構のXLRタイプコネクターが現在は標準てきに使用されています。

バランスタイプの入出力回路の特徴は、回路インピーダンス(音声などの交流信号に対する抵抗値)が低く設定されているため、接続ケーブルが持っている固有の容量値(ケーブルの持つ浮遊コンデンサー成分やコイル成分など)の影響による高域特性の劣化も少なく、バランス回路方式の長所として、外部からの雑音を打ち消す機能があるので外部ノイズの影響を受け難いため、接続ケーブルを100メートル、200メートルと長く伸ばして使用しなければならない状況でも音質劣化が少ないので、放送局をはじめ、録音スタジオの音響機器や劇場、ホール等のPA装置等では、全てバランスタイプの入出力を備えた音響機器設備による接続配線が採用されています。

尚、音声信号の他に直流電流を一緒に流す必要のある機器(例えば電話回線)や、誤って音声信号ラインに直流源流が流れ込んで音声信号に影響する危険を避けるため(例えば放送局内部回線)などで、音声信号用のライントランスを使用したバランス回路の場合には、良好な総合特性を維持するための厳密な入出力端子インピーダンスのマッチング条件を守る必要があったのですが、特殊用途の機器以外では高価なライントランスを使用せず、半導体回路によるバランスタイプ入出力回路を採用するのが一般的になっているので、後で述べる「Low出しHigh受けの原則」を守るだけで、今日では難しいインピーダンスマッチングに気を配る必要は殆ど無いといって良いでしょう。

また、バランス入出力端子間の接続配線には、通称「2芯シールド」と呼ばれるケーブルが使用されます。このケーブルは、2本の芯線の周囲を細い網線で包んでシールドした上を柔らかい樹脂で覆って絶縁した構造のケーブルです。このためホット(+)とコールド(-)の音声信号は2本の芯線の中を流れ、その周りをシールドで覆われてグラウンドに接続されているため、外部ノイズの影響を受けにくいメリットがあります。

アンバランスタイプの入出力回路の特徴は、回路インピーダンスの高低に関係なく、ホット(+)とグラウンド(GND=シールド)を2本(2極)のケーブルで信号の送受信ができる簡単な回路を採用しているため、1~3メートル程度(長くても5メートル以内)の短い距離で機器間の入出力端子を接続して使用する場合外部ノイズの影響が少ないので、敢えてバランスタイプにしないでも十分な性能で音響機器の入出力配線が行えるコストパフォーマンスがメリットでしょう。

ここで注意するべき点は、音響機器のアンバランスタイプ端子間を接続するケーブルの、RCAピンプラグ付ケーブルやホンジャック付ケーブルなどには、一般に「単芯シールド」と呼ぶケーブルが使われます。このケーブルの構造は1本の芯線の周りを編み線タイプのグランド兼シールドで包んで外側を柔らかい樹脂で覆って絶縁したものです。2芯シールドケーブルとは違って、単身シールドケーブルでは芯線とシールド部分には音声信号が流れていますので、外部からの強い雑音信号がシールド部分に加えられる環境にあると、シールドを流れる音声信号にもノイズが乗りやすいので、配線ルートは出来るだけ外部ノイズの影響を受けにくいところを通すように注意してください。

次に、是非知っていておきたいのは音声信号の位相(極性)の問題です。ミキシングコンソールなどのように、バランスタイプとアンバランスタイプ入出力端子の両方を備えている音響機器も多いのですが、アンバランス入力、およびバランス入力端子から入力した信号の位相(極性)と出力信号の位相(極性)は、常に同じ位相(同相=同極性)であるように設計されています。もしミキシングコンソールなどで入力端子によって位相(極性)が逆になっていたら、正常なミックス出力が得られないでしょう。例えばバランス出力端子とアンバランス出力端子の両方を備えたCDプレヤーの出力をミキシングコンソールのバランス入力とアンバランス入力の両方に入力してミックスした時もし位相(極性)が違っていたら互いの音が逆の位相なのでミックス音は打ち消しあうことになり問題ですね!

もし何かの間違いで位相が違うことに気付いた時に、便利なことにバランスタイプ入出力端子の位相(極性)は、ホット(+)側とコールド(-)側のピン端子の接続を入れ替えることで180度反転して切替えることができます。つまり、もしアンバランス入出力端子の位相(極性)とバランス入出力端子の位相(極性)が合わない場合には、バランス接続ケーブル端子の極性を入れ替えることで位相を揃えることもできるわけです。

さて、次にバランス入出力端子と、アンバランス入出力端子を接続して使わなければならない時の注意点です。

先ず、バランス入力端子にアンバランス端子の出力を接続する場合は、バランス入力端子のホット(+)端子側とアンバランス出力のホット(+)端子を接続しますが、アンバランス出力のグランド(GND)端子側(シールド)は、バランス入力端子のコールド(-)端子とグランド端子の両方を接続(ショート)された状態になっているところに接続しなければなりません。もしこれを忘れると入力感度が非常に低くなるため、十分な入力レベルが得られなくなるので注意してください。

今度は、バランス出力信号をアンバランス端子に入力する場合ですが、これには、バランス出力回路の種類によって以下の二通りの方法があります。

(Aタイプ)バランス出力端子のホット(+)側とアンバランス入力端子のホット(+)側を接続し、バランス出力側のグランド(GND)側(シールド)とアンバランス入力端子のグランド(GND)端子のみを接続して、コールド(-)側端子は遊ばせておく方法。  (Bタイプ)バランス出力端子のホット(+)側とアンバランス入力端子のホット(+)側を接続し、バランス出力側のコールド(-)側端子とグランド(GND)側(シールド)を接続した状態にして、アンバランス入力端子のグランド(GND)端子を接続する方法。  の二通りです。

一般に(Aタイプ)の接続ケーブルを使用する場合が多いのですが、(Bタイプ)の接続ケーブルを使用するように指示されている機種もあります。(Aタイプ)の接続を指示されている機種に(Bタイプ)のケーブルを使用するとバランス出力回路の半分をショートされた状態で使用することになり故障の原因になることがあります。         また、(Bタイプ)のケーブルを使用するよう指示されている機種で(Aタイプ)ケーブルを使用すると十分な出力レベルが得られない場合もあります。特にライントランス方式のバランス出力には(Bタイプ)ケーブルが必要です。何れにしてもこれらの使い分けは、取扱説明書などで確認して間違いのないようにしてください。

最後に、入出力回路の接続配線時のインピーダンスマッチングのルールについて説明します。一般に音響機器の入力端子から内部を見たときのインピーダンス(内部抵抗値)は少なくても数キロオーム(kΩ)で通常は10キロオーム以上で、50キロオーム、100キロオームなどがあります。これに対して、出力端子から内部を見たインピーダンス(出力抵抗値)は、数十オームから数百オームで(時には1キロオーム程度の値もある)と低い値になっています。このように特にアンバランス回路機器の入力インピーダンスは出力インピーダンスの20倍以上の値に設定されているのですが、これは何故でしょうか?

それは電子回路の特長で、音響機器の出力端子が他の機器の入力端子に接続された時、入力端子の入力インピーダンス(内部抵抗値)が出力回路の負荷抵抗となるため、入力インピーダンス値が出力インピーダンス値ぐらいに低いと、出力回路の負荷抵抗値として重過ぎることになるため、十分な入力レベルやダイナミックレンジが得られなくなってしまうからです。これは低いインピーダンスのスピーカーを負荷として接続しても十分な出力が得られるパワーアンプ(電力増幅)とは違い、ラインレベルの音声信号を増幅(電圧増幅)して出力を入力する機器の場合は、出力インピーダンスの10倍以上(理想的には20倍以上)のインピーダンスが負荷とした場合に、正常な出力レベル性能が得られるように設計されているためです。つまり、Low出し(Low出力インピーダンス)High受け(High入力インピーダンス)のセオリーを守らなければなりません。

以上の理由から、よくある例ですが、2系統以上の出力端子を一つの入力端子に接続してしまうことがあります。しかし高い入力インピーダンスの端子に接続したつもりでも、実際は2系統の低い出力インピーダンスの互いの出力端子がパラレルにつながる事になるため、互いの出力端子に別の出力端子の低い出力インピーダンスが負荷となって接続されている結果(相互負荷効果と呼ぶ)となり、正常な出力信号が得られない負荷抵抗状態で使用することになるので、絶対にこのような接続をしてはいけません。このように複数の出力を一つの入力に接続する場合には、1台毎にスイッチで切り替えて選択接続するか、ミキシング回路を通す必要があります。

この反対に、一つの出力端子を分配して複数の入力端子にパラレルに入力する場合は、複数の入力端子のインピーダンスのパラレル合計値が、接続する出力端子のインピーダンス値の少なくとも10倍以上の値までならば、出力端子の負荷として問題ないので良質の音声信号を入力できます。

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